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2008/06/11

不満を持っている人たちを、どうやって救うのか

秋葉原通り魔事件について、月曜のニュースウォッチで、東浩紀さんがコメントしたもの。ニコニコ動画のファイルは消えているが、文字おこしされたものが荻上式Blogで読めたし、別のところに動画も残っていた。

やっぱり、僕たちの社会の中に、こういう不満を持っている人たちが一杯いると。

  で、そういう不満を持っている人たちを、どうやって救っていくかということを
考えるべきなのであって、秋葉原の治安を強化しても、たぶん問題の解決にはならない。

  自分がこの世界に居てもいいと思えなかった、そういう屈辱感を与える社会になっている。僕たちの社会は。

  で、そのことを、僕は、もっと真剣に考えた方がいいと思います。

全くもって同感だ。

容疑者にまつわる事件直後のさまざまな報道を、あれこれ論評するのはあまり好きではないのだが、今回はどうしても書こうとしてしまう。

彼の中に湧き上がっていた怒りや行動の起源を、彼の異常な性格とか、過去の家庭環境に求めていって(それもあるのかもしれないが)、彼固有の問題として処理してしまうのはまずいだろう。秋葉原の治安を強化して解決する部分もひょっとしたらあるのかもしれないが、こんな風に25歳で不満を持ってしまうような若者が、この社会にはたくさんいるんだということを、改めて考え直すべきなんだと感じる。

でも彼のような、自動車工場で働く派遣社員の環境が、実際どんなものなのか、また今回どれだけ理不尽なことがおこっていたのか、僕はよくわからない。ネットではいろいろな情報が飛び交っているが、本当のところがどこまであぶりだされてくるのだろうか。いずれにしても、この話を彼固有の問題に押し込めて、派遣労働の実態が切り刻んで分析され、批判されることを回避したいと思っている人たちは、いるんだろうと思う。

現在25歳になる若者というのは、1982年か83年生まれということになる。僕が稚内時代に教えた世代だ。彼らがいまどこかでこのような不満を持って暮らしていないかどうか、僕はいま、非常に気になっている。今更どうしようもないし、「幸せに暮らせる術」について、僕はぜんぜん詳しくないのだけれども、もう少し何かしてやれることはなかったのかと、思ってしまうような顔ぶれも、正直目に浮かぶ。でももう一度彼らとやり直すチャンスがもらえたとしても、あまり結果は変わらないような気もする。

「誰でもいい」から殺してしまおうとするのは、たしかに異常だが、自暴自棄になって通り魔殺人をやろうとする者は過去にもいた。しかし青森高校に進学して、成績が300番台の低空飛行になったぐらいで、ここまでの異常心理に追い込まれるなんて、僕の世代にはちょっと考えにくい。受験競争がまだ厳しかった僕らの世代からみてもだ。彼の世代の進学事情からいえば、青森高校の300番台の生徒が入れる学校は、いくらでもあったはず。でも、進学校であるがゆえに、300番台の目立たない生徒であった彼は、さまざまな立ち直りのチャンスを得られなかったのかもしれない。

当初僕は「青森県出身」というのを見て、子どもの頃見た地元紙の求人広告欄を思い出した。県内就職の職種はしょぼくて、給料もものすごく安いのに対して、県外の自動車工場で働くとものすごい高給をもらえるように見えた。輝いて見えた。そのことを母に話し、そんなに甘いもんじゃない、じゃないけれど、何らかの形でたしなめられたような気がする。あれはおそらく「出稼ぎ」の募集だったのだと思うが、その後職に困った青森の若者を自動車工場などに採用しているという話をきいたこともあり、きっと今回の容疑者もそういうことだろうなあと思ったのだが。

進学校がやたらに強調する進学実績のかげでこういう屈折が生まれたのだとすれば、そしてそれが僕らの世代のあとで進行してきたものだとすれば、青森県の教育界は、青森の外側を含めた、現実の社会事情を踏まえ、子どもたちに解決策を授けることをもっと考えなければならないのだと思う。

そしてその言葉は、大学の就職指導への言葉となって、自分自身に跳ね返ってくるように思う。

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