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2007/08/05

弘前ねぷた

一戸時計店前にて、何年ぶりかの弘前ねぷた鑑賞。弟の納骨は来月に延期されたのだが、妹たちがすでに休みを取ってしまっていたこともあり、せっかくなのでみんなで集まることになった。ねぷたで弟を送りだす気分になるのかなあと、僕は思っていたけれど、あんまりならなかった。ねぷたで思い出されるのは、どちらかというと、祖母のことや、子供の頃一緒にねぷたに参加した従兄弟のことだった(従兄弟も昨年亡くなった)。僕も弟も上京してからかなりの時間がたっているし、一度上京するとねぷたにあわせてみんなが集まるってこともめったになかったので、ねぷたに関する共通の思い出があまりないのだろう。もちろんそれでも、地元に対する評価が大きく異なる僕ら兄弟が、一致して評価するであろう数少ない文化の一つに、ねぷた祭りがあるのは間違いない。

Hirosaki Neputa

弘前市民の、とりわけ高齢の人たちには、各ねぷたの絵の品評を行う人が、たぶん多い。いや実はよくわからない。夏祭りで興奮しているから、絵なんて大して見てない人のほうが多いのかも。ただ少なくとも、一戸家はずっと、絵を中心にねぷたを見ていた(弘前ねぷたは、三国志、水滸伝その他を題材にした武者絵が描かれている。青森ねぶたと異なり、二次元の「絵」が中心だ。)。

自分が幼少の頃から、あそこの絵はすばらしいとか誰が書いたものだとかを語りながら鑑賞していた。全員がそうだったという記憶はないのだが、祖父母の代か ら、ただ「きれいね」といいながら見るわけではない「うるさがた」の鑑賞方法が定着していたように思う。そしてその「伝統」は今にも受け継がれている。

弘前を出てから他の町のお祭り、たとえばお神輿なんかを見ても、どこか気持ちがしらけてしまうのは、「品評」のしようがないからだと思う。毎年同じ神輿を 取り出してきて担いだって、担ぐ人はいいかもしれないが、周りの人は何も楽しくないだろうと。最近になってようやく、そうした祭りのあり方も受容できるよ うになってきたけれど、でもやはり、「品評」の要素は僕にとって大事みたいだ。

今年のねぷたについての父の総評は、「めぐせ」(はずかしい、みっともない、の意)。全体的に絵の質が落ちていて、弘高ねぷたのほうがまだましなんだそう だ(僕の母校でもある弘前高校では、毎年7月の学校祭の前夜祭として、各クラスで生徒だけでねぷたを製作し公道を運行する、「弘高ねぷた」を行っている。 7月の開催なので、夏の始まりを告げる風物詩としても親しまれている)。たしかに、かつての大物ねぷた絵師たちの迫力ある筆致を思えば、なんとなく全体構 図のバランスが失われているとか、迫力を欠いているとか、そういうねぷたが多いなと僕も思った。少なくとも画風は大きく変化していて、漫画・劇画の画風が 取り込まれてきているような気がしないでもない。また、かつてはプロのねぷた絵師の作品ばかりであったのも、少し変わってきているのだろう。幼稚園が園児 たちに書かせた絵を一番大きい本ねぷたにするといった例も見られた。でも結局民衆の祭りである以上、それが人々とともに変化していくのは自然な流れである ようにも感じた。

また、企業や町会のねぷたが減って、任意に仲間たちが集まって参加しているグループが増えている。もともと弘前ねぷたには、企業ねぷたは少なく、各町会か らの参加が多かったのだが、地域コミュニティの崩壊を反映しているのか、徐々にそうしたグループは少なくなってきた。またそれ以外のグループとしては、夜 光館、必殺ねぷた人、がほんずといった団体が、町会とは一風異なる怪しげなねぷた、怪しげなコスチュームで参加していて、子供の頃僕はひそかに憧れていた のだけど、こうした独自グループはすごく増えてきているようだ。町会という地域コミュニティが崩壊しても、別の形でねぷたにかかわりたいという人はちゃん といて、こうした人たちによって弘前のねぷた祭りはこれからも支えられていくんじゃないかという気がした。

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コメント

 必殺ねぷた人のメンバーです。
 暇だったもので、「必殺ねぷた人」で検索したらどれくらいヒットするものか試していたところ、このHPにきました。
 「必殺が怪しげなねぷた、格好で・・」と書いてあったので、「また批判か」と思っていたのですが、最後に好意的に書かれていてとても嬉しかったです。
 町会では若者の参加が減ってきている中、必殺は若者が中心となっています。さらしに短パン姿の女の子。ダボシャツを着る男の子。確かに改善していかなければならない点かもしれません。しかしそこに自由があるからこそ必殺には若者が集まってきてくれます。ちょっと不良ぽい子が純粋にねぷたを楽しんでくれている姿は本当に微笑ましいものです。
 伝統を大事にしながらも、ねぷたに新たな風を吹き込む、そんな団体でありたいと思っています。

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