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2006/11/14

mixiで氏名・性別の公開範囲を限定可能に

リンク: ITmedia News:mixiで氏名・性別の公開範囲を限定可能に.

昨日小倉先生からコメントをいただいて以来、改めて顕名(実名)/匿名の問題について考えている。自分が何者であるかという属性をどこかである程度さらしていかなければ、現実の自分との接点は生まれないし、だからメリットも生まれない。僕もずっとそう考えて、そのときそのときの状況で判断して、行動してきた。が、土曜日の一件は、クラスの学生たちを、みんなそろって人々の好奇の目にさらされるよう、自分が誘導してしまったことになったわけで、それこそ青ざめる事態であった。が、その後いろいろ別の角度からのご意見もいただいていることに気づき、少し冷静に考えを進めなおしている。

僕が名前をさらしてネット上で活動し始めたのは、稚内に行ってからだったと思う。その前に別の大学で非常勤を始めて、そのときはウェブにゴミのような授業用の連絡情報を実名でおいていたか。その一方でネット上では匿名でサイト運営などもやっていた。それらはまさしくSecond Life(米ドルとのリンクはなかった)であって、このサイトや関連のML、この前書いたチャットルームがらみで、現実にお会いした人だけに対してのみ、それらの情報を連結し、それ以外のネット空間の存在としては、別々の人格として存在していた。最終的にはその区別自体は、どうでもよくなったような気もするが、仕事で会った人に自分の個人ページの話はしなかった。

稚内に行ってからは、逆に情報発信への意欲を低減させながら、しかしWEBでも実名でいろいろ書いていた(個人ページのほうは、実名とリンクさせつつ継続させようと思ったが、結局意欲を失ってしまい、それなりにアクセスがあったにも関わらず、ほぼ更新されることなく崩壊した)。仕事の忙しさもあったが、やはり地方の無名の田舎教師となったことで、東京その他大きな社会への接点をつかみ、そこで努力する意欲を持ち続けるのが難しくなっていっていたかもしれない。それでもそれなりに発言を続けていくことにより、いくつか仕事のお声がかかることもあったし、それはそれでメリットがあった。逆にデメリットに注意しなければならないほど、東京その他の地域との接点も感じられなくなってもいた。都会にいると人間は人ごみに埋没するが、田舎に行くとそのコミュニティで埋没しないでいられる一方、都会からは隔絶される。物理的な距離と、国内航空券の高さは、こうやって我々のマインドを変えてしまうのであり、今でもインターネットだけでそれを超えるのは難しい面がある。

あらためて思っているのは、自分個人の現実としての存在をネット空間とリンクさせて実際のメリットを得られるのは、独立性の強い職業についている人だけであって、ほとんどの人たちにとっては、リスクのほうが著しく高い、少なくともそのように考える人が多いというのが、現実なのかもしれないということ。特に都会では、それはそれで、ある種の見識かもしれないという気はする。だからこそ、現実との紐帯はできるだけ切っておけ、という初心者へのアドバイスは、デフォルトのスイッチとして意義があるという意見が強いのだろう。ミクシーの選択は、まだデフォルトのスイッチを切るものではない。on/offの切り替えはたしかに本人が細かく選択できるべき事柄(もともと実名じゃない登録は容易に出来たわけだから、今回のはより「細かく」切り替えられるようになったということ)なので、歓迎すべき事態ではあろう。

ただ、実際には独立性の低い職業といっても、今の社会ではさまざまな濃淡をもった人のつながり(乱暴にまとめると「人脈」?)で仕事をしている人は多いわけだし、独立性の高い職業の人たちも増えているんじゃないかと思う。特にそういう人たちは、実名でのネット上の表現活動を通じて、日常的に自分の人格や考え方を通じた付き合いを広げて深めていける可能性はあるので、決してメリットは少なくないと思うし、少なくとも、必要に応じて自分自身の情報の開閉を調整できるようなしかけを、追及していく意義はある。が、まだまだ僕たちは「出る杭は打たれる」ところに生きていて、だからまずはデメリットを考え、基本は匿名で、という風に流れてしまうのかもしれない。

このエントリを書いている間に小倉先生のブログに、先日のコメントと同趣旨の記事が出た。そして、普通の人は匿名でいいんだわ、という匿名のコメントも来た。いろいろ考えている僕の頭の構造が、そのまま二つの意見として現れた感がある。

とりあえず今日はここまでにしておきます。この先考えているのは、学生へのエンパワーメントとしての位置づけ。実はかなり絶望的ではあるけれども、しかし「実名」問題とのリンクはあるような気がしている。ある種の覚悟を持った発言を促し、学生を大人として取扱い、鼓舞していくことは、自分の世界観にこもりっぱなしの学生たちが外に出るために、役立つのではないか。「具体的な指示」だけを求める学生たちを前にして、絶望的になりつつも、かすかな光明を見出すための思考実験として、考えを進めてみたい。

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コメント

 「一般の人にはメリットがない」論を見ていると、自分が置かれている環境を自分の力で切り開く生命力のなさを感じてしまいます。本当は、既に実力が社会から高く評価されている人よりも、これから高く評価してもらおうという人にこそ実名での表現活動は有益なのに、もったいないねえと正直思います。

 実名投稿には、デメリットも大きいことに留意した方がいいと思います。職場や自宅に電凸されたり押し掛け抗議をかけられたり街宣かけられたりとまではいかなくてもです。
 せっかく築き上げた社会的評価がネット上での不用意な発言の連投で地に落ちる場合もあります。これももったいない社会的損失だと思います。
 これは現実社会もそうですが、現実社会の文献や論文は発表する場が無ければ発表できず編集者や出版社のチェックも入ります。しかしネット上でのサイバー発言は、誰でも気軽に行える上に経験ある編集者のチェックも推敲もないので、往々にして暴走する危険があります。
 ネットの怖さを知らない人は匿名で3年くらい情報発信を続けて、経験を積んでから実名にするか匿名にするかを判断した方が良いと思います。これは別に臆病者のすることを意味するのではなく、マナー習得と自己防衛(職場や家族を含む)として許容されると思います。
 特に、ネット上には、その道の専門家が多数いらっしゃるので、専門外の分野で無責任な発言を続けたり、専門家からの誤り指摘を無視したりすると、専門家からの反論できない総攻撃を受けて完膚なきまでに叩きのめされるという悲劇すら待っています。
 また、特定の職業や資格を目の敵にする荒らしや粘着する方(卑怯者?)もいらっしゃるので、そのようなネット上での場の雰囲気や風を読める能力を身に付けるのも必要だと思います。場の雰囲気や風を読むのは、ネチケットの一つでもあり、会社の会議や私的な飲み会と同様です。

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